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RCSとそこで得たもの



お久しぶりです。

立命館珈琲研究会RCS元副代表兼会計の石川智士です。


大学を卒業して少し経った頃、他の元幹部2人がSNSにRCSに関する投稿をしていたので自分もと思い、RCSに関する思い出や考えをまとめていたら膨大な量になってしまったので現代表に許可をもらい、ここに投稿させて頂いております。

これから述べる内容は決して「RCSというサークルはこうあるべき!」とか、「後輩たちには絶対にこうしてほしい!」といった考え方を押し付けるようなものではありません。あくまでも、僕個人の経験や考えに基づくものですので、予めご了承ください。




①立命館珈琲研究会RCSついて


RCSというサークルのキーワードは、

「コーヒー×○○」

「あなたの「したい」を一緒に!」

「初心者からバリスタまで」

の三つです。

活動開始当初に決めたこのコンセプトが、RCSの活動の軸にあり続けました。


立命館珈琲研究会RCSは、私を含む元幹部陣三名が一回生のとき、元代表が餃子の王将で放った「コーヒーのサークル作りたい!」の一言から始まりました。当時の私には、コーヒーの知識はほとんどありませんでしたが、ただただ面白そうという興味本意で活動を始めました。


当時の私たち三人は同じクラスに所属する友人で、それぞれアルバイトや部活動をしていました。しかし、キャンパス内には所属したいと思えるような団体が無く、どこか大学に居場所が無いように感じていました。今思えば、比較的新設かつ小規模のキャンパスである大阪いばらきキャンパスには、似た境遇の人が多かったのかもしれません。


RCSという組織に話を戻しましょう。そもそも、「コーヒーサークルってなんやねん」という疑問が大抵の人にはあると思います(笑)。コーヒーのことを詳しく知ったり、カフェ巡りといった活動を行うことは想像に難くないと思いますが、私たちはRCSを「コーヒーを軸としたコミュニティサークル」と定義しました。これが前述の3つのコンセプトと繋がるのです。


私たちはRCSを設立するにあたり、コーヒーをあくまでも団体の軸になるメインコンテンツとして捉え、コーヒーが軸にあり、「コーヒー×○○」のテーマに沿う活動なら何をしてもOKの自由な団体を目指しました。

具体的には、「コーヒー×地域」で、近隣のカフェとコラボし、プロデュースした豆を使って学園祭に出店したり、「コーヒー×お菓子」で、実際に大学内でお菓子を焼いてコーヒーとのペアリングを楽しむなど、対外的で大きなものからサークル内での小規模企画まで様々です。


コーヒーを淹れたり、飲んだりすることなら誰にでもできます。だからこそ、私たちの持つ知識や興味をコーヒーと掛け合わせて企画にすることで、大学生である私たちにしか出来ないことを実現しようと考えたのです。


当初の私のようなコーヒーの知識がほとんどないような素人から、カフェで働いていたり、コーヒーに関するマニアックな知識や技術を持っている人までが所属し、様々なアイデアを出して「コーヒー×○○」の式を使って企画にし、実現できる場所にする。そして、メンバーの持っている個性や興味を引き出すことで活動がさらに面白くなる。そうすることで、やる気や能力があるにも関わらず、それを活かす場がない人が活躍できる組織を目指しました。これらの思いを、「初心者からバリスタまで」、「あなたの「したい」を一緒に!」というキーワードに込めたのです。


また、コーヒーという明確に軸となるものがあることで、学内外問わず多くの人が興味を持ってくれるうえに、茶話会などでコーヒーを飲むという行為を通してメンバー間のコミュニケーションが促進されるので、企画アイデアや、やりたいことがメンバーから自ずと出てくるという効果もありました。私たちなりの飲みニケーションとでも言うべきでしょうか(笑)。これは副次的な効果に過ぎないかもしれませんが、RCSにとって欠かせない要素であったような気もします。




②RCSの活動を通して学んだこと


RCSの立ち上げと運営を通して、私は多くの学びや気付きを得ることができました。ここではその中でも特に重要だと思う内容を、3パートに分けて紹介させて頂きます。私の得た学びが、少しでも誰かのお役に立てば幸いです。



1:「リーダー」に囚われなくていい



リーダーのあり方は無数にある


突然ですが、皆さんは「リーダー」と聞いてどのような人をイメージするでしょうか。

明るく前向きで行動力がある部活動のキャプテン?それとも先頭に立って社員を引っ張るカリスマ的存在の有名なベンチャー社長でしょうか?

もちろん、その人たちが持つものは紛れもなくリーダーとしての素晴らしい資質です。しかし、それだけがリーダーシップではないと私は考えています。


私は、小学生の頃からクラスや部活動などのリーダー的ポジションになることがしばしばありました。しかし、自分からやりたいと言ったことは殆どありません。そもそも目立つことが好きではありませんでしたし、自分が集団の先頭に立てるような魅力的な人物だとは到底思えませんでしたから。投票や指名によって半ば押し付けられる形でリーダーになり、嫌々こなすことの方が圧倒的に多かったように思います。同じような経験をした人も多いのではないでしょうか。


大学に入学し、RCSでは設立メンバーであることと、当時簿記や会計の勉強をしていたことから、副代表兼会計という立場になりました。大学生になったからと言って私自身が劇的に変化するわけではありません。しかし、今までと明確に違ったのは、幹部三人で一人のリーダーのような形になっていたことでした。


元代表は発想力や行動力、対人面で非常に優れていましたが、思考の言語化や組織運営のための細々とした事務作業に関しては人並以下と言ったところでした(笑)。しかし、私以外のもうひとりの副代表は言語化能力や論理的思考力が高く、お互いを上手く補い合っているように見えました。そんな二人と一緒に活動する中で、私が役に立てているのだろうかと思うこともありました。

そんなあるとき、二人が私には組織全体の様子を俯瞰してメンバーの話を聞いたり、必要なサポートをしたりするといった、重要な役割があると言ってくれたことがありました。後に大学の講義で学んだのですが、このような役割は「サーバント・リーダーシップ」と呼ばれるものだそうです。自分はリーダーの素質がないと思っていた私は、自分でも気づかないうちに自分なりのリーダーシップを確立し、発揮していたのです。


もちろん、誰もが憧れるリーダーのような人がいるとは思いますが、その人の存在だけで組織が成り立つわけでも、一人で完璧なリーダーがいるわけでもありません。自分が組織の中で何かしらの役割を果たしているのならば、それは十分にリーダーシップと呼ぶことのできるものではないでしょうか。



リーダーこそ暇であれ


大学を卒業したばかりの新社会人が偉そうなタイトルをつけていますが、これも非常に重要なことです。

なにも、貴重な大学生の全ての時間をサークル活動に捧げろと言っているわけではありません。様々な場所で挑戦したり、経験を積むことは非常に良いことです。ただ、もしも組織運営に力を入れたいのであれば、リーダーのフットワークが軽いことは組織にとって非常に大きなメリットになると思います。


前章でも述べた通り、RCSはメンバーが企画アイデアを出し、次々に実行していくような団体です。幹部陣は企画運営の手伝いや管理をするため、メンバーが増えるにつれて当然幹部陣の仕事も増えていきます。

さらに、活動を行うためには幹部陣や全体でのミーティングも必要になりますし、学内の団体や外部の方から出店やコラボ企画の依頼を頂き、相手方との交渉やミーティングをすることも多々ありました。これらのとき、重要になってくるのはスピード感でした。


「鉄は熱いうちに打て」と言うように、熱意やモチベーションが高まっているうちに、実行に移した方が絶対に上手くいきます。アイデアを企画にしようと思っても、メンバーの都合が合わずミーティングが後回しになってしまったり、開催日にも人が十分集まらないとなっては、せっかくの良いアイデアも台無しになってしまいますし、メンバーが抱いていた熱も冷めてしまいます。

また、サークル外の人と企画を行う場合には特にスピード感が重要でした。一般的に大学生は社会人と比較して、お金も経験もありません。あるのは膨大な自由時間と若さ、熱意くらいです。ならば大人と渡り合うために、そこを最大限利用しない手はありませんよね。


「スピード感が重要」というと当たり前のように思われるかもしれませんが、案外これができていない人は社会人にも多いように感じます。裏を返せば、大学生がその当たり前のことをきちんと実行するだけで周囲の人から評価され、一目置かれる存在になれるのです。


そのスピード感を発揮するためには、やはりある程度自由にできる時間の確保が必須となります。私たちの場合は、急な案件が舞い込んだとしても、最低でも3人の幹部のうち誰か1人は対応に回ったり、必要な手続きができるくらいの余裕がある状態がちょうど良い塩梅だったように思います。これも、三人で運営をすることの大きなメリットでした。



その組織を最大限使い倒せ


リーダーや幹部はメンバーを支え、組織がうまく回るように、なにかとしなければならないことが多いです。しかし、役職に付随した仕事だけに忙殺されるのは非常にもったいないように思います。

これまた当たり前のことを言うようですが、リーダーも組織の一員です。せっかく組織のトップにいて、そのために時間や労力を割いているのだから、自分が一番メリットを享受してやるくらいの気持ちで良いと私は思います。


人には色々なタイプがいて、得意不得意も実に様々です。何も無い状態からアイデアを出すことが得意な人もいれば、企画や仕組みとして作られたものを運用することに向いている人もいます。


企画に関して言えば、RCSの幹部陣として果たすべき役割は、メンバーから引き出したアイデアを企画にすることと、現実的ではないアイデアや上手く機能していない企画を一度白紙に戻すことくらいで、その他は軽い手伝いや調整程度で十分でした。一度軌道に乗ってしまえば、アイデア出しや企画運営はメンバーが自ずとやってくれましたから。

しかし、それだけに留まるのでは面白くありません。私たち幹部陣もメンバーの一員としてガンガン企画アイデアを出していました。極めつきは、副代表の発言から台湾カフェ巡りツアーが実現したことでしょうか。何よりリーダーが組織の使い方、組織を面白くしようという姿勢を見せ、最大限それを楽しんでみせることで、メンバーにもやって良い事の幅の広さや楽しみ方が伝わっていたような気がします。


また、私たちのRCSの使い方はアイデア出しや企画の領域に留まりませんでした。経営学部の学生だった私たち幹部陣は、RCSを大学で学んだマーケティングやマネジメントなどの、理論の実践の場として捉えていました。


経営学、特にマネジメント領域は一般的に「実践の学問」であると言われます。これを、経営学を学べば実際のビジネスの場面で即座に役に立ち、他の学問は全て机上の空論で、実際に役に立つものでは無いと誤解する人がいますが、それは間違いです。

経営学は、様々な人が経営やマネジメントする中で得た持論について調べ、それを一般化して理論の形とするものです。そして、またその理論を学んだ誰かが実践の中でまた新たな持論を構築して、といった繰り返しによって理論が生まれ続けます。(私なりの簡略化した説明なので厳密には間違っているかもしれませんが...)

今ある経営理論が必ずしも全ての組織に当てはまるものではありませんし、経営学を少しかじったところでビジネスで大成功できるわけでもありません。だからこそ、私たちは最も身近にあったRCSという組織で、理論の実践を試みました。


私たちは大学の公認サークルになるよりも前に、学園祭でコーヒーの販売をしたことがありました。キャンパスには、セブンイレブンとスターバックスがあります。そのような過酷な競合状況でいかに差別化を図り、自分たちのコーヒーを多くの人の手に取ってもらうか考える際には、大学で学んだマーケティングの理論を大いに参考にしました。

また、学園祭や公認サークルへの昇格を経てメンバーが増え、今まで通りの組織形態では運営が上手くいかなくなったときには、講義で学んだ事業部制組織の形態を自分たちなりにアレンジして導入し、広報活動を行うメディアチームをはじめとした様々なチームをサークル内に作り、新たな組織形態で運営を進めました。

もちろん、上手くいったことばかりではありませんでしたが、経営学の理論を学ぶだけでなく、実践して持論を構築するところまで取り組めたことは、私たちにとって非常に大きな意義のある学びであったと思います。



2:まずは声に出す。次は行動。周囲が動き出すのはその後。



あることにすればあることになる


ここでまず私が伝えたいのは、「あることにすればあることになる」ということです(ここだけ見ればどこぞの環境大臣のような発言ですが...)。というのも、組織には実体がありません。そこに属する人や周囲の人がその組織を認識して初めて組織が成り立つのです。

「あることにすればあることになる」というのは、自分たちが名乗り、あると認識してしまえば、そこに組織は存在するという意味です。裏を返せば、誰にも認識されなくなった瞬間に組織は無くなってしまいます。


私たちは、大学の公認団体でもない設立当初から図々しく「立命館珈琲研究会」を名乗り、学園祭にまで出店しました。その結果多くの人に組織として認知され、メンバーの増加や公認団体化などの発展に繋げることが出来ました。まず自分たちが組織を認知し、図々しく声に出して名乗ることが組織の立ち上がりの第一歩になるのです。



組織と個人の目的


繰り返し言っていますが、RCSはメンバー皆で動かし、存続させていく団体です。ですから、多くのメンバーがサークルに関わり、組織を成立させることは非常に重要です。

私たちが過去にコラボした中には、リーダーだけが活動に積極的で、他のメンバーは受け身で参加するだけのような団体もありました。しかし、それではリーダーがいなくなれば人々の組織への認知は一気に弱くなり、団体は消滅してしまいます。組織の成立には、ある程度人の認知と参加が不可欠なのです。


ただし、これは組織全員が同じ考えや目標を持つ必要があるという意味ではありません。組織の目的と組織内の個々人の目的が完全に一致することなどありえませんから。

RCSのメンバーの参加理由は実に様々でした。将来コーヒーを仕事にしたいと考えているような人もいれば、友人をつくって一緒にカフェ巡りをしたいという理由で活動に参加していた人もいました。中にはコーヒーが飲めるようになりたいと言って入ってくる人もいました。

それぞれの目的はありつつも、私たちはコーヒーの魅力やコミュニティを広げたい、面白いことをしたいという思いを共有していたのです。


目的がバラバラの人が集まると、組織としてのまとまりが弱くなると思われるかもしれませんが、どこかに一点でも共通項があれば、何も問題は無いと私は考えています。むしろ、多様な人が集まることによるメリットの方が大きいように思います。


大袈裟に聞こえるかもしれませんが、1つやりたいことをしようと思うと、その実現までにはやりたくないけどやらなければならないことが100個くらいはあります。それを全て自分1人でやろうと思うと、非常に骨が折れますよね。そこで様々な人が集まり、やりたいことをメンバーが声に出す組織が意味を持ちます。誰かのやりたくないことは、他の誰かのやりたいことや、得意なことの場合があるからです。


RCSの設立当初、私たちは広報活動の一環としてインスタグラムを始めたのですが、写真家の方にダメ出しされる程度には写真のセンスが壊滅的でした。しかし、組織が拡大するにつれて入会したメンバーの中には、広報活動や写真撮影が得意な人がおり、彼女たちにSNSの運用を任せた結果、写真のクオリティや更新頻度が飛躍的に上昇しました。

目的や興味、得意なことが違う人が何かを共有し、組織として集まることでそれぞれがやりたいことをより高い制度で達成することが可能になったのです。



やりたいことを口に出し、チャンスが来れば即行動


声に出すことの次に重要になるのは、やはり自ら行動を起こすことです。いくら自分のしたいことや目標を口に出していたとしても、行動が伴わないのでは実現するわけがありません。


私たちが二回生のとき、学内外から多くの人が集まるイベントがありました。そこでは元々ペットボトルや缶の飲料が提供予定でしたが、私たちはそこに目をつけ、自分たちにイベントでコーヒーを提供させて欲しいと主催者に直接打診しました。私たちの提案はすんなりと受け入れられ、イベント当日にコーヒーを提供し、多くの人と交流を持つことが出来ました。後にそこで出会った人から新たなオファーが舞い込んだり、大きな予算がつくような話にまで発展したこともありました。

したいことを口に出し、実際に行動に移したことで、自分のしたいことを実現でき、多くの人に自分たちのことを知ってもらうことで、また新たなやりたいことの実現に繋がりました。


これは余談ですが、概ね大成功だったこのイベントの際に、失敗したなと思ったことが一つだけありました。

それは、主催者との交渉の中で、「コーヒー以外のドリンクの提供の手伝い」を、「他のメンバーに確認を取らずに」請け負ってしまったことです。


前述の通り、「コーヒー×○○」で自分たちだからこそできるものを作り出すことが、RCSの目的です。その専門性を自ら崩し、ついでとはいえ、自分たちを安売りしたことで自分たちが作り出そうとしているものの価値が揺らいでしまったのは良くなかったと感じました。

また、コーヒー以外のドリンクの提供は、メンバーのやりたいことでもなければ、やりたいことに繋がる過程にあるやりたくないことでもありません。それを勝手に請け負い、他のメンバーにも手伝って貰う前提で話を進めていたのは、非常に身勝手であったと反省しました。

フットワークの軽さやスピード感は非常に重要なのですが、自分たちのやりたいことや組織の目的と照らし合わせ、冷静に検討することは絶対に忘れてはいけません。これを忘れてしまうと、気づかないうちに組織の方向性がぶれてしまいますし、一つひとつの企画の精度も下がってしまいます。



3:大学生が「社会的な存在」になることの意味



大学時代を「人生の夏休み」と形容する人もいるほど、大学生活は自由な時間に溢れています。その時間の使い方は、学業やスポーツ、アルバイトなど、人によって実に様々でしょう。

その一方で、学生という立場のために社会との繋がりが薄い場合も多く、中には社会の規範から逸脱した行動を取る学生もおり、それがニュースなどで取り沙汰されることも多々あります。そんな大学生だからこそ、学外の人とも関わり、社会的な存在になる意味が大いにあると私は考えています。



大人との関わり


大人は私たちが想像する以上に学生の活動に関心を抱いています。

これはあくまでも私の体感に過ぎませんが、私たちを学生として認識し、大なり小なり応援してくれる大人が8割、学生かどうかに関係なく対等な立場で接する人が1割といったところで、大半は良い人たちです。注意すべきは、隙あらば学生を利用しようとしてくる残りの1割です。


前章でも少し言及しましたが、基本的に大学生には経験がありません。なので、本当は対価が貰えるくらい価値があることをやっていても、その社会的、客観的な価値を測ることができないことも少なくありません。そのために、悪い大人に経験を対価にして安く、下手をすればタダで利用されてしまうこともあります。


目標を持って積極的に行動していれば、良い人も悪い人も寄ってきます。自己の過大評価や他人を過度に疑うことは良くないのですが、正当な評価や対価を出さない人と距離を置くことも重要です。価値を感じたものに正当な評価を下してくれる人は沢山います。そんな人たちとの関わりが、私たちを成長させてくれるのです。



ルールや規範を守ることで周りと簡単に差別化できる


私たちは大学3年に上がる頃にコロナ禍に突入し、活動の自粛を余儀なくされました。食品を扱い、対面でのコミュニケーションによる繋がりを重視していたRCSへの影響は非常に大きく、大学との交渉を続けても対面活動再開には繋がらない日々が続きました。


せっかく集まってくれたメンバーに活躍の場を提供出来ていないと感じ、大学の傘下から一度外れて自由に活動するという選択肢を考えたこともありました。しかし、私たちは大学の公認団体として残り、交渉を続けることを選びました。

自由かつ活発な活動であっても、社会的な規範を守り、周囲の人たちへの配慮を忘れなかったからこそ、多くの人に認めて貰えたという自負があったからです。ただ、交渉は難航し、結果的に対面活動はほとんど行うことが出来ませんでした。


もちろん、ルールを守ることが全てではなく、ときには抜け道や別のルートを探すことも大切です。それに、私たちの選択が本当に正しかったのかは今でも分かりません。対面活動再開の手続きに関する大学側の対応には不満や不信感を抱くことが多々ありましたし、もし早々に大学の傘下から外れて対面活動をしていたら、RCSの活動はより良い方向へ向かっていたのかもしれません。

しかし、ルールを守って、その中でいかに活動するかを必死に模索していたからこそ、自分たちの活動を応援してくれる人がいて、コロナ禍であっても外部からの応援や依頼を頂くことが出来たこともまた事実です。


社会人になると、ルールを守ることは当たり前で、その点で他者から評価されることはありません。だからこそ、ルールや規範を守っていない人や組織も多い大学生という立場で、きちんとそれらを守って行動することで人々から認められ、信用される組織であり続けることには大きな価値があると思います。




③終わりに



ここまでお付き合い頂きありがとうございました。


RCSでの私たちの活動は、当時の爆発的な熱量や恵まれた環境があったからこそ、実現した側面が非常に大きいです。何度も念押しするようですが、現在、そしてこれからRCSを動かしていく後輩たちに同じことを要求するつもりは全くありません。

ただ1つ伝えたいのは、自分がやりたいことを仲間たちと実現させる場所としてRCSを有効活用して貰えると嬉しいということだけです。


正直な話をすると、私たちはRCSを一代限りで終わりにしても構わないと考えていました。そんな中、活動もままならないコロナ禍において、運営を引き継ぎたいと言ってくれたメンバー達には感謝しかありません。しかし、それは絶対に続けなければならないものでもなければ、誰かに押し付けられてやるものでもありません。

この数年で社会は大きく変容しました。私たちの思い描いたRCSはもしかすると、既に時代にそぐわない組織かもしれませんし、ただでさえ組織の運営を続けることは大きな負担になります。

大学生活を送る皆さんには今あるものだけに縛られてほしくありません。リーダーや運営をやりたいと思う人が誰もいないのであれば、そこで組織が終わっても何の問題も無いのです。実際にRCSの中にも、新たにサークルや団体を作りたいと言って抜けていったメンバーも何人かいました。居場所がなければ新たに見つけたり、作ったりすればいい。そして自分にできないことがあればできる人に任せればいいと私は思います。


私たちのRCSの活動はずっと順風満帆というわけにはいきませんでした。大学生ならではの熱量や行動を起こすことの面白みを感じつつも、大人や社会という分厚い壁に阻まれることも多々ありました。

そんな中であっても、ときには頼れる大人と相談し、仲間たちと何度も議論して、最終的に自分たちで結論を出して行動したことで、どのような結果であったとしてもそれを受け入れて前に進むことができ、その経験から学びを得ることができました。

これを読んでいる皆さんも、どれだけ忙しいときであったとしても、組織で活動するときには、お互いに相談し、議論して意見を交わすことだけは絶対に惜しまないでください。

いくら仲が良くても、相手がどんなに優秀な人でも、口にしなければ伝わりませんし、たった一人の判断や力で出来ることは限られています。チームで何かをするということは、常に自分の考えを相手に伝え、そして相手の考えを理解しようとするところから始まります。そのことは、私も常に心に留めておきたいと思っています。


最後になりましたが、貴重な大学生活の中でRCSに参加してくれたメンバー、そしてRCSに関わって下さった全ての皆さんには感謝してもしきれません。遅くなってしまいましたが、この場を借りて改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。


長文拙文失礼しました。では、またどこかで。

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